知って備える!知って備える!腰痛の基礎知識

腰痛は、ヒトが二本足で直立歩行をするようになった時点で
無理な姿勢を強いられたことによるものといわれます。
つまり、避けて通ることが難しい「人間の宿命」ともいえるのです。
だからこそ、日ごろからしっかりと対策をしておくことが大切。
正しい知識を身につけて、元気な腰を守りましょう。

腰痛は、8割以上が「原因不明」腰痛は、8割以上が「原因不明」

痛みなどの自覚症状の調査によると、腰痛は男性の第1位、女性も肩こりについで第2位。一生のうちで、経験しない人はほとんどいないといわれるのが腰痛です。
その原因は椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折、内臓疾患などさまざまですが、特定できる割合はなんと全体の15%程度。つまり8割以上が、原因不明とされています。これが腰痛の治療を難しくしている理由のひとつです。

腰痛を起こす3つの要因腰痛を起こす3つの要因

根本的な原因についてはなかなかわかりにくい腰痛ですが、その発生に関係がある動作などはわかっています。

(1)「動作」の要因

  • 重いものを頻繁に持ち上げている。
  • 重いものを押したり引いたりしている。
  • 腰を深く曲げたりひねったりすることが多い。
  • 急に姿勢を変えることが多い。
  • 長時間同じ姿勢で仕事をしている。
  • 無理な姿勢を続けることがある。

(2)「環境」の要因

  • 身体が長い時間、寒冷にさらされている。
  • 車の運転などで全身が振動に長時間さらされる。
  • 職場や家が乱雑で、移動しにくい。
  • 職場や家の床が滑りやすい。

(3)「個人的」な要因

  • 慢性化した腰痛がある。
  • 腰に違和感があるが、相談できる専門家がいない。
  • 腰が痛くてもゆっくり休むことができない。

最近では、上記のほかに、ストレスなど心理的要因と腰痛との関連も注目されています。毎日の生活で当てはまることがないかチェックして、少しでも改善できるところは変えていくようにしましょう。

一時的な腰痛は「初期」が重要!一時的な腰痛は「初期」が重要!

ぎっくり腰などの一時的な腰痛は、初期治療を誤らなければ多くは短期間でよくなります。ただし、一度発症すると、その後は長期にわたって再発をくり返してしまいがち。初期に正しく対策をすることと、そして再発を防ぐための予防が肝心です。

突然腰痛が起こったら

床から物を持ち上げたときなどに、ギクッと腰が痛むことがあります。これがいわゆる「ぎっくり腰」、腰椎捻挫と呼ばれるものです。
体を動かすことが難しいときは、まずは安静にすることが一番です。横向きか仰向けのどちらか楽な姿勢をとり、膝を曲げて寝ましょう。

  • ◯エビのような姿勢で寝る

    柔らかい布団やソファは、お尻が沈んで腰椎の曲がりが強くなるので避けましょう。

  • ◯仰向けに寝る

    膝の下に枕などを入れます。ソファは避け、固い布団などに横になります。

外出先で痛くなったら

横になれない場所でぎっくり腰になってしまったら、腰に負担をかけないようにして、少し楽になるまで待ちましょう。

  • ◯壁に寄りかかる

    壁などに寄りかかり、腰を少し曲げて押し付けます。

  • ◯座れる場合

    壁などに寄りかかってうずくまります。

少し楽になったら

痛みが少し収まってきたら、横になれる場所へゆっくりと移動しましょう。

  • ◯横歩きで移動する

    カニのように横歩きをします。

  • ◯前屈みで歩く

    おなかに力を入れて少し前かがみになり、ゆっくりと歩きます。

動けるようになったら普段の生活を

従来は、腰を痛めたときには安静第一といわれていましたが、最近の研究ではかえって回復を遅らせたり、再発率が高くなったりすることがわかっています。腰痛ベルトやコルセットなどで痛みがやわらぎ、動くことができない状態を脱したら、できるだけ普段の生活に戻るようにしましょう。

日頃から予防するために日頃から予防するために

突然の腰痛を避けるために、日ごろから動きや姿勢に注意しましょう。特に気を付けたいポイントをご紹介します。

◯物を持ち上げる動作

腰椎を曲げたまま持ち上げると、腰を痛めるもと。膝を曲げ、腰椎がもっとも反っている状態から少し戻した姿勢を保って持ち上げます。

◯座っているとき

物を持ち上げるときと同様に、腰椎がもっとも反っている状態から少し戻した姿勢を保ちます。背中にクッションなどを入れるのもおすすめです。

◯車を運転するとき

座席に深く腰掛け、背もたれに背中をフィットさせます。腕と足は伸ばし過ぎないようにします。振動を軽減するクッションなども腰の負担を軽減できます。

仕事や家事の合間にできる!おすすめストレッチ

ストレッチには、腰や背中、足の筋肉の柔軟性を保つ、筋肉の血流量を増やす、気持ちをリラックスさせるなどの効果があります。仕事や家事の合間の習慣にすることで、腰痛予防につなげることができます。

◯太ももの前側のストレッチ

20~30秒間姿勢を維持し、左右それぞれ1~3回伸ばします。

◯ふくらはぎのストレッチ

20~30秒間姿勢を維持し、左右それぞれ1~3回伸ばします。

◯太ももの外側・お尻・お腹のストレッチ

壁に背を向けて立ち、上体を壁に向けてひねります。20~30秒間姿勢を維持し、左右それぞれ1~3回伸ばします。

腰痛に悩まない毎日のために腰痛に悩まない毎日のために

最後に、覚えておきたい大切なポイントをまとめました。

  • 腰に負担のかかる「動き」にご用心!
  • 寒さや冷えなどの「環境」にも注意!
  • 一時的な腰痛は、「初期の対策」が肝心!

腰痛になる前も、もしもなってしまったときも、
しっかりと対策をして元気な腰を守りましょう!

出典:厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/131025-03.pdf
をもとに作成