ケアしやすい環境づくりに
大切な収納法
ついついしがちな普段の何気ない行為が、意外と危険につながる場合もあります。ちょっと収納環境を見直して目を配るだけで在宅ケアにおいて双方が暮らしやすい環境を作ることができます。ここでは、介護しやすい環境を作るための収納ポイントをお伝えします。
収納場所を見直しましょう
一般的に、取り出しやすく使いやすい収納場所は次のようになります。
●日常よく使うモノ:おおよそ目線から腰高くらいの位置
●比較的重いモノや大きなモノ:腰高より下方の位置
●年に1~2度ほどしか使わないモノや軽めのモノ:目線よりも上方の位置
ただ、年齢を重ねてくると、今まで余裕で届いていた高さにあるモノを取り出すのが難しくなったり、脚立などに乗って上方にあるモノを取り出そうとしたら足元がふらついて落下したりするなどかえって危険な場合もあります。身体の健康状態や要介護度に応じて、モノを収める場所や位置を見直すようにしましょう。
移動する場所に モノを置かないようにしましょう
とくに収納場所が決まっていないモノ、収納スペースに入りきらないモノについては、ついつい床にモノを一時的に直置きしてしまいがちです。しかし、健康なときにはまったく気にならないことでも、サポートが必要となる方にとっては大きな危険が潜んでいる場合が多々あります。たとえば、寝起きするベッド周り、とくに床に足を置くスペース周りや、ベッドからトイレへの動線にモノが置かれていると、杖などを使って移動する場合などにつまずいたり転倒したりしてケガや骨折するケースも考えられます。めくれやすい、段差のあるマット類も同様です。もちろん、健康な人でもつまずいて転倒してしまうこともあり得ますので、移動する場所にはモノを置かないようにしましょう。
引き出しにはラベルをつけて
わかりやすくしましょう
在宅ケアには家族だけではなく、ヘルパーをはじめとする介護事業者、在宅医療関係者、家事代行サービス業者等の第三者も関わることも考えられます。おむつやパジャマ、下着、体温計など第三者が取り出す必要があるモノがどこに入っているのか探せるように、引き出しなどにラベルをつけるのがおすすめです。また、部屋のどの棚の何段目に何が入っているのかぱっと見てわかるように、ホワイトボードなどを使って収納地図を作り、部屋の入り口などに貼り出してお知らせしておくのも一案です。「あれはどこにありますか?」「これはどこにしまいましょうか?」と聞かれて都度説明する手間と負担も軽くなります。
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執筆:
有賀 照枝
整理収納コンサルタントハート・コード代表取締役。2007年から家事代行・整理収納サービス開始。現場をよく知る整理収納のプロとして、セミナー講師、ジュピターショップチャンネルなどメディア多数出演中。「部屋磨きは自分磨き・職場磨きはスタッフ磨きに通じる」がモットー。著書「片付けが苦手な子が驚くほど変わる本」(青春出版社)。